CLAUDIA PAVONE Soprano RECITAL

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スター街道を驀進しはじめた新しいプリマドンナ、
クラウディア・パヴォーネを世界に先駆けて味わう!

筆者が初めてクラウディア・パヴォーネの歌を聴いたのは2013年、シチリアでのことだった。
片田舎の小さな劇場における《ラ・ボエーム》のミミだったが、響いた第一声にはある種のオーラがあり、満席の空間に緊張が走ったのが忘れられない。後で知ったが、その公演が彼女のオペラデビューだったという。それから5年余り、今では名立たる大劇場で歌っているパヴォーネのキャリアが始まった瞬間に、居合わせたのである。イタリア人の両親のもとにドイツのシュトゥッツガルトで生まれ、野外オペラで有名なヴェローナに近い小都市ヴィチェンツァで育ったパヴォーネ。近郊の音楽学校を最高の成績で卒業するとすぐ国際コンクールに挑戦し、わずか2年ほどの間に数々のコンクールを制覇している。ルッジェーロ・レオンカヴァッロ国際オペラコンクール(2012年)、マリア・カラス国際コンクール(2013年)、ジャチント・プランデッリ国際声楽コンクール(2013年)で優勝。ボローニャ市オペラコンクールでレナータ・テバルディ特別賞を受賞。また、グラーツで開催されたフェルッチョ・タリアヴィーニ国際オペラコンクール(2013年)において最優秀賞およびコッリエーレ・デッラ・セーラ批評家賞を受賞と、書ききれないほどだ。転機は指揮者リッカルド・ムーティとの出会いだった。2015年、クリスティーナ・ムーティ演出の現代オペラに出演したのを機に接点ができ、このイタリア最大の巨匠のオペラ・アカデミーに合格。こうして翌年2016年には、レッジョ・エミリア、モデナ、コモ、ベルガモ、ブレーシャ、クレモナ、パヴィアなど、イタリア各地の歌劇場で《椿姫》のヴィオレッタを歌うことになり、すでに70回にもおよんだその公演は、いずれも絶賛された。2017年にはいよいよ大劇場に進出し、3月、4月にフェニーチェ歌劇場でチョン・ミョンフンの指揮のもと、《椿姫》と《カルメン》に連続出演すると、7月にはオペラ・ディ・フィレンツェにデビュー。2018年にはローマ歌劇場で、ソフィア・コッポラ演出の《椿姫》におけるヴィオレッタ役のほか、巨匠ダニエーレ・ガッティ指揮の《リゴレット》では、ジルダ役に抜擢された。

このリサイタルは、スター街道を歩みはじめたパヴォーネの初来日公演である。「唾をつけておく」という言葉がある。近く彼女は世界中から引く手数多になるだろう。その前に、世界に先んじて、新しいプリマドンナの魅力に触れられる幸運に、私たちは浴することができるのだ。

銀座 王子ホールへのアクセス
●地下鉄 銀座駅下車・・・・・・・・A12出口から徒歩1分
●地下鉄 東銀座駅下車・・・・・・・A2出口から徒歩2分